“働かない働きアリ”が組織を救う!?DAOから見る「サボり」の意外な効用

記事の概要

「働きアリ」といえば、せっせと巣を維持し仲間に貢献するイメージが強いですよね。ところが実際、アリの集団の中には 常に一定数、働いていないアリ がいることが知られています。一見「サボり」と思えるこの行動が、実は組織全体の柔軟性や効率性を高めるカギになっているかもしれないのです。 そしてこの不思議な仕組みを、自律分散型組織 ─ 通称 DAO ─ の観点から眺めると、「組織の在り方」に関する新たな示唆が見えてきます。いったい、どういうことなのでしょうか?

“働かないアリ”がいるのは非効率?アリ社会で見つかった意外な真実

最新の生態学研究によれば、アリの集団の中で実際に働いている“勤勉なアリ”は全体の3割ほど。残りの7割は部分的な活動にとどまり、中にはほとんど動かない個体も存在するそうです。

「え、こんなにサボっていて大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、実は以下のようなメリットが指摘されています。

  1. リザーブ労働力としての役割
    巣が壊れたり捕食者に襲われたりする非常時には、普段は“働かない”アリたちが一斉に行動を始め、組織を立て直します。
  2. エネルギー効率の最適化
    常に全個体がフル稼働するよりも、一部のアリが休んでいることでムダなエネルギー消費を抑え、長期的な持続性を高めている可能性があります。
  3. 情報収集や監視役
    働いていないアリが巣の中や周辺を観察していて、環境の変化や異常事態をいち早く察知するケースもあると考えられています。

こうしてみると、“働かないアリ”も組織全体の柔軟性と安定を支える重要な存在だとわかってきます。

DAOにも「働かないアリ」はいる?─ “隠れメンバー”が担う意外な役割 ─

では、このアリの話がなぜDAOとつながるのでしょうか。

DAO(Decentralized Autonomous Organization)とは、中央管理者不在でメンバーそれぞれが自律的に行動し、ブロックチェーンやスマートコントラクトなどの技術を活用して意思決定や資源配分を行う組織形態のこと。理論上は「みんなで合意をとりながら動く」しくみですが、現実には、常にアクティブに参加している人ばかりではありません

たとえば「投票の通知が来ても面倒でスルー」「ディスカッションに書き込みはしないけど、定期的にチェックはしている」──そんな “非アクティブ”なメンバー が一定数存在するのです。

一見「それって無駄じゃない?」と思いがちですが、ここに“働かないアリ”との共通点が垣間見えます。DAOにおける“働かないアリ”──非アクティブ・メンバーには、以下のような役割が考えられます。

1. 緊急時にこそ力を発揮する“待機組”

DAOは、新しいプロジェクトのトラブルや資金難、ハッキングリスクなど、「ここぞ」という瞬間に集中して動かなければならない場面があります。
普段は黙っているメンバーが、専門知識リソースを持っていて、一気に助けに入ることがあるのです。アリが非常事態に備えるのと同じように、DAOにも隠れたリザーブ労働力がいるというわけです。

2. “潜在的専門家”が眠る宝箱

DAOコミュニティには世界中から実に多様な人々が参加するため、「普段は静かだけれど、実はスゴいプロフェッショナルだった」というケースが起こりえます。

  • 仮定の例:あるDAOで「アートが好き」という理由だけでNFTコレクションに加わっていたメンバーが、後になって一流美術館のキュレーターであることが判明。アートプロジェクトの転換期にリーダーシップを発揮し、DAOを大きく飛躍させた──といったストーリーが考えられます。
    • ※このストーリーは「こうした可能性がある」という 仮定のイメージ であり、特定のDAOにおける事実に基づくものではありません。

このように“働かない”ように見えるメンバーが 実は超専門家 という可能性は、DAOならではの魅力です。

3. コミュニティの“調整弁”としての存在

アクティブ組が議論を加熱させる一方で、非アクティブ組があえて距離をとり、全体を客観視していると、コミュニティの温度差を埋めたり、盲点に気づいたりすることがあります。

「自分はそこまで利害関係がない」という立場から、中立的な視点で建設的な提言ができるのは、DAOにとって貴重な機能といえます。

4. イノベーションの火種になり得る“観察者目線”

“働いていない”ように見えるメンバーが、実はじっくりと コミュニティの動き を観察していることも少なくありません。

  • 長期間のフィードバックを蓄積 し、あるタイミングで一気にアイデアを投下
  • 外部コミュニティや他プロジェクトとのコラボをいきなり提案
  • 利用者(ユーザー)に近い視点で改善点を発見

など、アリが外界を監視して巣全体を守っているイメージにも通じます。普段は目立たないけれど、突然コミュニティの方向性を変えてしまうほどのインパクトをもたらす──これがDAOの “働かないアリ” の醍醐味です。

組織が疲弊しないための“余力”こそ鍵

生態学では「アリの7割が休んでいるのに、なぜ社会が成り立つのか」という謎が、逆にアリ社会の強さを裏付けるポイントとなりました。

DAOにおいても同じで、常にフル稼働する必要はない のです。

“働かないアリ”が存在することで、緊急時の追加リソースや、新しいアイデアを生む土壌が確保されます。たとえメンバー全員が常時アクティブでなくても、あらゆる局面に対応できる余力があるからこそ、DAOはしぶとく、しなやかに動き続けられるのです。

まとめ:サボりが未来を変える?

「働きアリ」なのに働かない個体がいるという、一見矛盾した現象。しかしそこには、組織の柔軟性や持続性を高める カギが隠されていました。
DAOもまた、非アクティブなメンバーを抱えることで、緊急対応力や多様性を確保し、思わぬイノベーションを呼び込んでいます。

すべてのメンバーが黙々と働くのが理想、とは限らない。
“休んでいる人”や“様子を見ている人”がいることが、組織にとって新たな可能性を生む。アリの世界とDAOのコミュニティに共通するこの意外な真実を知ると、私たちが思う「サボり」のイメージも、少し変わってくるかもしれません。

次にDAO運営やコミュニティづくりを考えるときには、自然界をお手本にしてみましょう。アリが見せてくれる “働かない力” の偉大さに、きっと新しい発見があるはずです。